Make Tokyo Meeting 03 で展示します. (その2)

緊急告知 2

明日5月24日(日)も引き続き Make:Tokyo Meeting 03 の「幻燈工房」さんの展示スペースにて、ウイムズハースト起電機の展示と実演を行ないます。。

23日には行けなかったけど興味はあるという方や、23日に行ったけどもう一度見たいという方がいれば、ぜひいらして下さい。

Make Tokyo Meeting 03 で展示します.

緊急告知

5月23日(土)、24日(日)に、デジタルハリウッド大学 八王子制作スタジオにて開催される Make:Tokyo Meeting 03 に出展することになりました。

「幻燈工房」さんの展示スペースを一部分、間借りして、23日にウイムズハースト起電機の展示と実演を行ないます。
興味がある方はぜひいらして下さい。

学研「大人の科学」に本ブログのURLが紹介されました!

概要

学習研究社が出している大人向け科学雑誌大人の科学マガジン」の最新号(vol. 22)の特集は、「平賀源内のエレキテル」です。

この中で、静電誘導型発電機を紹介するページがあり、その参考ウェブサイトとして本ブログが紹介されました。記念に2冊入手して、ふろくを実際に作ってみました。

付録エレキテルの製作(オリジナル版)

大人の科学の付録のエレキテルを説明書どおりに作ってみました。少ない部品点数で、できるだけ実験の自由度を増やそうという工夫が随所に見られます。
(以下画像etc準備・・・するつもりでしたが、引越し時にものが壊れてしまいました。orz)

付録エレキテルの製作(改造版)

ライデン瓶を増やすことでエレキテルの放電の明るさ(放電量)は増やすことができますが、エレキテルの放電距離はエレキテルの構造(エレキテルの作ることができる電圧)で決まってしまいます。そのため付録のエレキテルの放電距離を増やそうと思うならば構造を本質的に変えなければならなくなります。
静電発電機では、電極に尖っている部分があるとその部分の電場が強くなり、そこから放電してしまい電圧がそれ以上増えなくなります。そこで、改造では、付録のエレキテルで最も尖っていると思われる針金部分を全て取り除き、100円ショップで購入したアルミのカラーワイヤーに置き換えました。コンデンサの部分などは付録のものを流用しています。
(以下画像etc準備・・・するつもりでしたが、引越し時にものが壊れてしまいました。orz)
残念ながら、それほど放電距離は伸びませんでしたが、ライデン瓶無しでも放電がはっきり見えるようになったので、発電能力は上がったのではないかと思います(アルミワイヤー間の距離を増やすと、コンデンサ電極間で放電する様子が見えるので、現在、放電距離を決めているのはコンデンサの耐圧かもしれません)。

ただやはり、エレキテルでは「摩擦による静電気」を利用しているため、ハンドルを回すのにそこそこの力が必要で、労力のわりに得られる電圧が低いのは否めない感があります。というわけで個人的には静電誘導型発電機の方がやはり好きですね(静電誘導型発電機では摩擦を利用しないため、回転板を回すのにほとんど力は必要なく、安いモーターでも十分に回すことができます)。
比較と宣伝のために自作のウィムズハースト起電機の放電の様子の動画を載せておきます。放電距離は付録のエレキテルの約10倍(〜 3 cm)あります。

イオンクラフト

この実験は高電圧(数十 KV)を使用しています。高電圧を扱う技術を持たない人は決してまねをしないでください。また、実験を行なう場合は自己責任でお願いします。本ページは責任を負いません。

注意事項(必ず読むこと

このサイトで紹介しているディロッド発電機ウィムズハースト起電機では、おそらく数十KVの電圧の静電気が発生しています。私はこれらの起電機の電極に触れ、しびれたことはありますが、死んだことはありません(心臓が弱い方は起電機の静電気でも危ないかもしれませんのでマネはしないで下さい)。しかし、もし私が濡れた手で家庭用の100Vの電源にふれ続ければ確実に死にます。
電圧だけ見ればウィムズハースト起電機の電圧は家庭用100Vの数千倍です。しかしながら、ウィムズハースト起電機の場合、電圧は高くとも電極に蓄えられている電気量が小さく、流れる電流も瞬間的なものになります。結果、電圧は高くても人体に与えられる全エネルギー(ダメージ)はごくわずかなものとなり、感電死するようなことは(普通は)ありません*1
これに対し、家庭用100Vではコンセントの向こう側で発電所が休みなく大電流を送り続けています。したがって、ふれ続けていれば際限なくエネルギー(ダメージ)が人体に与えられ致命的なことになります(コンセントの場合、電流が50Hzの交流である(心臓のリズムを狂わす)ということも致命的です)。イオンクラフトの電源の場合、電圧はウィムズハースト起電機と同程度かも知れませんが、その背後には発電所からの電流が休むことなく供給されていることを忘れてはいけません。瞬間的に離れれば大丈夫かも知れませんが、感電による筋収縮のために体が電極を握ったまま動けず電極から離れられなくなりそのまま感電死することもあります(この最悪のパターンを防ぐ触り方というものもありますが、それが答えられない人はイオンクラフトを作るのは考え直した方が良いと思います)。
なお、感電とは別の注意事項として、イオンクラフトを空気中で稼動させると放電のためにオゾンが発生することが挙げられます。オゾンは人体にとって有害なので、イオンクラフトの実験を行なうさいには換気に十分気をつけてください(静電誘導型発電機を動かしている時にもオゾンは発生しています。換気してください)。

概要

イオンクラフト(リフター)は、空気中で非対称な電極に高電圧を印加する際に生じるイオン風を利用して空を飛ぶ装置です。設計にはBlaze Labs Research PagesLifter Simulator for Windowsを利用しました。

実験装置の全体像

イオンクラフト本体(全重量:約 4 g)
  • 骨格:2mm角バルサ材(一部を紙やすりで削って軽量化)。正三角形の1辺は300mm
  • コレクター:アルミホイル(厚さ12マイクロメートル、家庭用の普通に販売されているもの)
  • エミッター:直径0.2mmの錫メッキ銅線(ビニール導線の中身を使用)
  • エミッター−コレクター間距離:26mm
電源装置

パソコンのディスプレイ(ブラウン管と、GND間の高電圧を利用)

赤い導線(プラス極。ブラウン管に接続)がイオンクラフト本体のエミッタ(上部の銅線)に、黒い導線(マイナス極。回路のGNDに接続)がコレクタ(アルミホイル)に接続されます。エミッタ−コレクタ間の電圧は数十kV程度と思われます(測定してないので詳細は不明)。赤い導線の途中にある黒い部分の中には、過剰に電流が流れてモニターが壊れるのを防ぐための抵抗(500kΩ,2W、実際には1/4W抵抗を適当に組み合わせて代用)が入っています。

イオンクラフトの飛行実験

エミッタ−コレクタ間にディスプレイからとった高電圧を印加するとイオンクラフトが浮上します。エミッタ−コレクタ間の間隔が小さすぎると、大きな放電が生じてディスプレイが壊れたりバルサが燃えたりすることがあるので、ディスプレイの電圧を、様子を見ながらスライダックで徐々に上げていくのが安全です(私はそのようにして実験しました)。
 イオンクラフト浮上前
 イオンクラフト浮上中
足に結び付けてある糸は姿勢制御用です(これがないと高電圧の物体がふらふら飛び回って大変怖いことになります)。なお、撮影は東工大ロボット技術研究会の部室で行ないました。短いですが、動画も載せておきます。

イオンクラフトの動作原理

準備中。とりあえず旧サイトを見て下さい。

*1:コンデンサーの容量をC、電圧をV、電気量をQとすると、コンデンサーの蓄える電気エネルギーEはE=QV/2=CV^2/2で与えられます。ウィムズハースト起電機の電極の場合は、Cの値が小さいので、たまる電気エネルギーは致命傷を与えるほどにはなりません。ただし、Cの大きさが十分大きいコンデンサー(ライデン瓶)にウィムズハースト起電機を接続すると、電圧は同じでも蓄えられる電気エネルギーが増加し、静電気でも致命傷を与えることがあります。A.D.ムーア著「静電気の話」によれば『人間の体を通る放電のエネルギーが10 ジュールをこすと、生命に危険を及ぼし、4分の1 ジュールでも大きなショックを与えることが知られている』そうです。

ウィムズハースト起電機

概要

ウィムズハースト起電機は、ディロッド静電誘導型発電機と同様、静電誘導を利用して静電気を起こす発電機です。製作は「デモンストレイション物理」の原理図とここの写真をもとに行ないましたが、不思議な物さんのページを見たことが、ウィムズハースト起電機を作ろうとした直接の動機です。

ウィムズハースト起電機の全体像

 ウィムズハースト起電機(前から撮影)
 ウィムズハースト起電機(後から撮影)
 ウィムズハースト起電機(上から撮影)
 ウィムズハースト起電機の動力伝達部
(2枚の円盤を互いに逆に回転させるために手前の輪ゴムはひねってある)

動作原理

ディロッド発電機より複雑でわかりにくいですが、ウィムズハースト起電機の発電原理も基本的には静電誘導です。


ウィムズハースト発電機の模式図(2枚の円盤を内側の輪と外側の輪で表現)

  1. A点で円盤2(外側の円)のアルミ板({\bigcirc})が瞬間的に正に帯電したとする。このとき、Aの電場のために、Aの反対側(円盤1、内側の円)のアルミ板が誘導されて負に帯電し、さらにリンクIで接続したBのアルミ板が正に帯電する。
  2. 正に帯電したアルミ板Bが円盤2に接しているリンクIIに近づく。
  3. アルミ板Bの反対側(円盤2側)のアルミ板が誘導により負に帯電し、このときリンクIIを通じてアルミ板Cが正に帯電する。これにより、アルミ板A側の正電荷が増加する。
  4. 4. 正の電荷は1つの電極(図中のコの字型をした両矢印)に集まり、同様に負の電荷は他方の電極に集まる。この2本の電極はライデン瓶に接続され、発生した電荷を蓄電する。

図も説明もわかりにくくて申し訳ないのですが、じっと図を見ているとたぶんわかってくるのでご容赦ください。なお、ここでの説明は、G.D.フレイヤー他著「デモンストレイション物理」を参考にしました。

ガ○コ○ロで簡易高電圧発生装置

この実験は高電圧が発生します。作業中の感電に気をつけてください。実験を行なう場合は自己責任でお願いします。本ページは責任を負いません。また、絶対に生物(人、動物、その他 etc. …)には使用しないでください。

概要

最初は「自作スタンガン」というタイトルでしたが、若干誇張気味だったのでタイトルを改めました。実際には手軽に出来る自作高電圧発生装置とでもいうべきものです。
基本的にはガ\otimes\otimesロをばらして、電池ボックスをつなぎなおして箱に入れるくらいなので、半日もあれば完成します。有害情報と感じる方がいるかもしれないので、一応、ガ\otimes\otimesロは一部伏字にしておきますが*1、台所にあって電源が単1電池2本程度のものです(誤爆する人がいると困るので明言しておきますが、電子レンジ的なものではありません。100V電源につないで使うような家電製品ではありません。)。
使い捨てカメラで簡易スタンガンを作っている人は多いようです(私も作ったことがあります)。コンデンサを多くすれば、一回の放電で流れる電流を増加させて放電の派手さを増やすことは可能ですが、導体に接触させないと放電しないので、連続的に放電を見るのには向いていません。(ここここのようにコッククロフト・ウォルトン回路で昇圧すれば連続放電できるようになります)。以下の実験は、自作スタンガンで派手な放電を見たい人/他人を驚かせたい人向けのものではなく、ちょっと高電圧を発生させて綺麗な放電を眺めてみたい人向けです。

制作手順

\otimes\otimesロを入手できればほとんど終了です。私は高校時代に高校のゴミ置き場に捨てられてあったものをもらってきました。新品は2〜3万しそうですが、ヤフオクで500円くらいで出ていることもあるようです。
下の写真がガ\otimes\otimesロをバラして取り出した高電圧発生装置です。放電部分の端子やスイッチもそのまま流用できます。図中の「+」「−」がガ\otimes\otimesロの中の電池ボックスの+と−にくっついていた部分、赤矢印で示してある部分が(−電極に対して)高電圧になっている端子です。

電池をつないでこの高電圧発生装置一式を適当な入れ物に入れれば完成です。私は100円ショップで買ったランチボックスに入れました(下写真。上:スイッチなどを箱につけたところ。下:箱に入れたところ)。


放電実験

端子間の放電の様子はこんな感じです。
 放電1
 放電2
 触るな危険!
 使い捨てカメラのキセノン管に放電
 直列につないだネオン球に放電

実験のようすを動画にしてみました。動画中、手に放電するシーンがありますが、あれは痛いのでのマネはしないで下さい(笑)。

*1:でも、ガ\otimes\otimesロを使うというアイデアは、もともとNHK教育「やってみよう何でも実験」での、ガ\otimes\otimesロを使ってライデン瓶を充電するという実験がもとになっているので、これを有害情報というならNHKが有害情報を流していたことになってしまうのですが…。

ディロッド静電誘導型発電機1

概要

ディロッド*1静電誘導型発電機1は静電気を起こす発電機です。ただし、通常私たちが想像するように「こすって」静電気を起こしているわけではなく、「静電誘導」という全く別の現象を利用して静電気を発生させています。冬場の調子の良いときは8mm程度の空中放電が見られます。設計などは A.D.ムーア著「静電気の話」(原著:A.D.Moore, "Electrostatics")の「ディロッド・ジュニア」を参考にしました。

ディロッド静電誘導型発電機1の全体像

 ディロッド発電機1 (前から撮影)
 ディロッド発電機1 (後ろから撮影)

制作手順

詳細はMooreの本を参照してください。中心のアクリル円板は自作も出来ますが、800円くらいで東急ハンズで買うこともできます。

動作原理

  1. 電極(+)の電荷によって、真鍮棒(○)に電荷の偏りが生じる (静電誘導)。
  2. 円盤が時計回りに回転し、電荷を持ったまま真鍮棒が中性ブラシ({\rm \Omega})から離れる。
  3. 真鍮棒の電荷が電極に回収され、電極の電荷が増加する。
  4. 1.に戻るが、電極の電荷が増大しているため誘起される電荷はさらに多くなる。

原理を見ればわかるかと思いますが、この発電機では、最初の時点で両側の電極に電荷の差が全くなければ静電気が発生することはありません。しかしながら、大抵の場合は人間の手が電極に触った際に生じる静電気や空気中の荷電粒子のために、両側の電極に電荷の差が全くないということはなく、ほぼ100%電位差があります。そしてわずかでも電位差があれば、円盤の回転と共に電位差は急激に増大し、数秒から数十秒で火花放電が起きるほどの静電気が発生します(「静電気の話」ではこの過程を「複利的に電荷が増大する」と表現しています*2)。ただし、どちらの電極が正になるかは毎回偶然に支配されます。

Electrostatics: Exploring, Controlling and Using Static Electricity/Includes the Dirod Manual

Electrostatics: Exploring, Controlling and Using Static Electricity/Includes the Dirod Manual

*1:Mooreによると「ディロッド」という名前は、円板(disk)の di と棒(rod)からつけたものだそうです。

*2:ディロッド発電機そのものではありませんが、ディロッド発電機と同様、静電誘導を利用して発電するケルビン発電機については電荷が指数関数的に増えることを示す簡単なモデルがあります。ケルビン発電機の実験が成功したら後日そのモデルを紹介する予定です。